長野市 肩の代償運動について
腕をあげて肩関節を動かすときに本来使われる筋肉に代わって他の筋肉が代用することで動きを行う動作を代償運動(だいしょううんどう)や代償作用(だいしょうさよう)、またはトリックモーションと呼ばれます。
肩の動きは、
まっすぐ前方から上に上げる屈曲と、腕を後ろに上げる伸展、横から腕を上げていく外転、そして回旋運動ががあります。
肩の代償運動がはっきり見られるのが、腕を上に上げる屈曲動作と横から上げていく外転動作という動きで簡単に確認できます。
屈曲動作とは:上肢を下に垂らした状態で前方から腕を上に挙げていく動作
外転動作とは:上肢を下に垂らした状態で側方から腕を上に挙げていく動作
こんな動きです
代償運動がおこる理由は、
肩の動きは、複数の関節が働くことで始めてスムーズに動くことができるのですが、肩のインナーマッスル(回旋筋腱板)の働きが弱まることで、他の筋肉がそれを代用することで、肩関節の動きに狂いが出てくることが原因です。
屈曲や外転の動きは、大きな可動範囲があるので代償運動がわかりやすくみることができます。
実際の代償運動ってどんな感じ?
例えば、腕を横から上げていくとします。
このときに見るポイントは、手が動き始る時に肩(肩甲骨)に注目してみてください。
筋肉が正常に働いている場合は、手が横に動き始める時に、肩はあまり動きません。
これに対して、
本来の筋肉が働かない時には、腕を横に上げ始める段階で肩が上に挙がったり、肩をすくめたような動作が見られます。
これが肩の代償運動、トリックモーションと呼ばれるものです。
ここからは、代償運動のメカニズムを詳しくお話するので少し難しい話になります。
興味があったら読んでください。
まずはじめに、
肩の外転動作の流れを見ていきましょう
肩の動かしはじめに、肩インナーマッスルが働いて、肩関節の軸を保ちます。
そして、
棘上筋と三角筋の働きで肩関節が横に動き、ある程度横に上がると肩甲骨が動き始めます。(僧帽筋や肩甲挙筋の働きです)
最後は背骨を伸ばすことで外転が完了します。
(上記の筋肉は一部です)
これらの動作で大事になってくるのが前にご紹介した、肩のインナーマッスル(回旋筋腱板)です。
肩のインナーマッスル(回旋筋腱板)が上腕骨を肩甲骨に保持しておくことで、アウターマッスルがしっかり使われてダイナミックな動きを可能にしています。
回旋筋腱板(インナーマッスル)に炎症や筋肉の損傷がおこると、本来の働きが失われるのでスムーズな筋肉の働きが出来なくなります。
つまり、上腕骨を肩甲骨に保持しておくことが不可能になってくるわけで、そうすると、関節の動きの軸がぶれてきて、動作がぎこちなくなってきます。
棘上筋という筋肉は肩の外転動作に作用する筋肉ですが、この筋肉が障害をおこすと外転動作の際に上腕骨をしっかり肩甲骨に保持できなくなり、肩関節の動きが不十分となって代償として三角筋や僧帽筋など肩甲骨に付着している、いわゆるアウターマッスルがその作用を代用するわけです。
そうすると肩の外転動作の際に、腕が上がるより先に肩甲骨が極端に挙がってから、腕を上げるようになります。
こんな理由で、代償運動(トリックモーション)が起きるというわけです。
この代償運動が長く続くと、必要以上に使われている僧帽筋や三角筋の筋疲労が強くなることから、肩こりや筋肉のハリなんかも感じやすくなるわけです。
代償運動は肩のインナーマッスルのケガや機能低下で顕著にみられるので、代償運動(トリックモーション)が続いている場合は、インナーマッスルの回復と合わせて筋肉や関節の動きをとり戻すトレーニングが必要になります。
特にスポーツ選手の場合は怪我が治ったのにうまく力が入らない、思い通りの動作が出来ないなどの問題が発生してきますので、局部の損傷が回復してもそこがゴールではなく、動作・運動の筋肉の再教育がとても重要になってきます。
運動をされていない人も同じです。間違った使われ方を長くしていると、後々、肩峰下滑液包炎や肩関節周囲炎いわゆる五十肩や四十肩、腱板損傷など肩の障害につながる可能性が高くなるので、肩の機能が低下している場合やけがの後のリハビリは丁寧に行うことをおすすめします。
今回はこれでおしまい。
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