【股関節の働きに欠かせない】大殿筋はこんな筋肉
大殿筋は、スポーツから日常動作まで、股関節の力を発揮するためには欠かせない、お尻を形づくるとても大きな筋肉です。
TeamLabbodyより
下図の赤い線が大殿筋の走行です
解剖学アトラス 運動器Ⅰより
大殿筋の起始と停止について
大殿筋のような骨格筋は関節を動かす働きがあるので、必ず筋肉の始まりと終わりがあります。これを筋肉の起始と停止と呼びます。
※筋肉の起始と停止について詳しくは:筋肉の起始と停止について
一方の骨からはじまる部分を起始、もう一方の骨につく部分が停止。
大殿筋の起始と停止
起始:腸骨の殿筋面の後方、仙骨・尾骨の外側縁、胸腰筋膜、線結節靭帯
停止:大腿骨殿筋粗面、腸脛靭帯
大殿筋の働き
大殿筋はお尻を形作る大きな筋肉です。歩く時には大殿筋のはたらきは低く、山登りや早く走るとき、ジャンプする時など股関節の大きな力を使う際に、大殿筋は活発にはたらきます。
大殿筋の主なはたらきは股関節の伸展と股関節の外旋に関わっています。
股関節の伸展とは、股関節を支点にして大腿骨を後方へ移動する動きです。
100メートル走のように早く走るときや、バレーボールのアタックを打つときに高くジャンプするためには、股関節の伸展力(大腿骨を後ろに動かす力)が欠かせません。
大殿筋の筋力が強いプレーヤーは、より高く、より早く走ることを可能にしています。
一流のスポーツ選手のお尻が大きいのは、大殿筋が発達しているためです。
大殿筋のトレーニング方法と選択
大殿筋のことが少しわかってきたところで、では大殿筋を強くするにはどうしたらいいのでしょうか?
大殿筋を鍛える方法は、大殿筋だけを狙った短関節運動をするか、多関節運動として大殿筋を強くするかで方法は分かれます。
短関節運動:1つの関節だけを動かす運動
多関節運動:2つ以上の関節を使う運動
トレーニングの選択は大きくこの2つに分けて考えるといいでしょう。
1、短関節トレーニングがおすすめの場合
腰痛や股関節など痛みがあるとき、フォーム修正、動きの改善などを目的とした場合は、大殿筋をターゲットにしたトレーニングがいいでしょう。
スポーツや日常で動く際に、股関節痛にしても腰痛でも、痛みがある時には筋肉のバランスが崩れていることがあります。そんなときには、目的の筋肉がしっかり使われているか、確認しながらトレーニングする必要があります。
・大殿筋を狙った運動方法の例として
簡単なものでは、ヒップリフトやうつ伏せになり股関節を伸展するPHE(Prone Hip Extension)動作が大殿筋を意識しやすいと思います。
PHE動作はこんな動きです。
どちらにしても、大殿筋の収縮(大殿筋が使えている感覚)を感じることが重要です。大殿筋に力が入っている感覚がない場合は、太ももの裏側の筋肉ハムストリングスや、背中の筋肉である脊柱起立筋などに過剰に負荷がかかっていることがあります。
このまま、スポーツなどで強い負荷をかけ続けていくと負担が強いられている、腰やハムストリングスなどに張りを強く感じたり、痛みが出る可能性も高くなります。
まずは、大殿筋を意識できることがポイントです。
股関節を上手に使うことは、競技の上達にもつながります。
2、多関節運動がおすすめの場合
下肢全体の筋力向上やパフォーマンスアップのための大殿筋トレーニングは、みなさんがご存知のスクワットです。
スクワットは、大殿筋と合わせて、太ももの前側に突いている大腿四頭筋や裏側のハムストリングスが同時に強化されます。合わせて体幹の力も必要になります。
スクワットは、股関節・膝・足首の関節を動かすので多関節運動になります。
サッカーや野球、バスケットボールなどスポーツ動作においては多くの関節や筋肉が協調して働くことでパフォーマンスが発揮できます。
スクワットは、大殿筋をはじめ下肢の筋肉を効率的に鍛えることができます。
スポーツでも日常でも、動きを伴うときにはいろいろな関節がはたらいて、バランスをとりながら一つの動作を行っているので、多関節運動ではスクワットからとりいれてみるのもいいでしょう。
【股関節の痛みにも関係?】大殿筋のトリガーポイントとは?
ここからは、お尻や股関節に痛みがある場合に参考にしてください。
大殿筋にトリガーポイントがある場合、お尻(股関節)や尾てい骨周囲の痛みにも関係することがあります。
下図:×印が大殿筋のトリガーポイント、赤い部分が痛みを発している場所です。いわゆるトリガーポイントの関連痛になります。
トリガーポイントマニュアルより
※トリガーポイントについて詳しくはこちら:慢性痛の原因はトリガーポイント?
トリガーポイントの特徴は、痛みの部分と原因になる場所が離れていることです。
そのため、痛みがある場所をいくらケアしても痛みの根本解決になっていないことがあります。
大殿筋のトリガーポイントケア
誰でも簡単にできる大殿筋のトリガーポイントケアは、持続押圧とストレッチを組み合わせた方法です。
大殿筋を自分で押し続けるのは、指や腕が疲れるのでテニスボールを使うと簡単です。
先ほどのトリガーポイントの図を参考にして、あお向けや横向きに寝て、テニスボールをお尻にあてて体重をゆっくり移動します。
テニスボールで大殿筋を圧迫することで、日常痛みを感じている場所(股関節やお尻などの痛み)が再現された時には、その部分がトリガーポイントになります。
そのままゆっくり60秒〜90秒程度、圧をかけ続けます。
(いきなり体重をのせて強く押し過ぎると、逆効果になるので注意)
その後は、90秒かけて大殿筋のストレッチをしていきます。
※痛みが強くなる場合は、無理せず医療機関等を受診してください。
まとめ
大殿筋は、股関節を支えたり運動するときには欠かすことができない筋肉です。特に下肢の動きを伴うスポーツ競技においては強化することはもちろん、パフォーマンスの低下やスポーツ障害などが発生した場合には、見直しが必要な筋肉でしす。この機会に大殿筋にフォーカスしてみてはいかがでしょうか。
今回は、このへんで。
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