上腕二頭筋長頭腱炎(じょうわんにとうきんちょうとうけんえん)という言葉を聞いたことがありますか?
これは、
肩に痛みがあるけど、腕の筋肉に原因があります。
痛みを感じるのは肩の前側ですが、原因は肘を曲げる筋肉、上腕二頭筋の炎症が強くなることが原因でおこります。
上腕二頭筋長頭腱炎は、野球やテニス、バトミントンなどで発生する可能性が高くスポーツ障害の一つです。
上腕二頭筋というのは、肘を曲げたときに盛り上がる力こぶの部分です。この筋肉は、長頭(ちょうとう)と短頭(たんとう)という二つの筋肉の固まりがあり、二つの頭を持っているということから上腕二頭筋と言われています。
この筋肉の主な働きは、肘を曲げることですが、腕を上げて肩を曲げる動作にも使われます。
下の図を見てもらうとわかるように上腕二頭筋長頭(じょうわんにとうきんちょうとう)は、肩甲骨の関節窩というところの上部(関節上結節)から始まり前腕の骨まで伸びています。
この上腕二頭筋長頭は腕を上に曲げる屈曲という動作をするときに使われるので、この筋肉が使い過ぎなどで肩甲骨に付いている腱の部分に炎症が起こってくると肩の前部の痛みとして感じられます。
上腕二頭筋長頭が炎症を起こす原因は、
日常生活においては、よほど酷使して使わなければ上腕二頭筋に炎症が出るまでの痛みにはなりにくいですが、
野球やテニス、バトミントン、水泳などのオーバースロー動作を繰り返すことで疲労が蓄積されたり、肩甲骨の動きや胸椎の動きに制限が生じたりするとこの筋肉への負担が増加して炎症症状が起こり肩の痛みとして出現します。
この症状の見分け方としては、
・運動中や運動前後に肩前面に痛みがないか?
・安静時に痛みがないか?
・肩前部の圧痛、押して痛みがあるか?
・肘を直角に曲げて親指を上に向けた位置から、手首を外側に回す時に痛みがないか?(この時第三者に手首を外 側に行かないように抵抗をかけてもらう。)→ヤーガソンテスト
・肘をまっすぐ下に垂らした姿勢から、第三者に手首を抑えてもらい、腕を上に挙げていく。その時に肩前面に痛みが出ないか?→スピードテスト
などで判断していきます。
もちろん炎症症状が強い場合の初期処置はアイシングや安静が基本です。
その後の治療としては、上腕二頭筋の疲労回復のためのマッサージなどを行い、合わせて腕の反対側にある上腕三頭筋との筋肉のバランスを整えます。
肩の安定性も落ちていることが多いので、肩回旋筋腱板の強化も行います。
また、肩甲骨の内転と言って肩甲骨を背骨に引き付ける動きや、
胸椎の伸展、反る動きに制限がかかっていることが多いため、
合わせて動きの改善と筋肉のバランス調整を行います。
その他、スポーツの競技特性に応じて柔軟性や動きの調整が必要になります。
最後にこの症状を起こした時に、注意が必要なことは、
上腕二頭筋長頭腱は、肩関節の関節唇と呼ばれる軟骨に付着しているため、さらに上腕二頭筋に繰り返しの負荷がかかってくると上腕二頭筋長頭腱が関節唇を引き剝がし、野球肩で見られるSLAP損傷に発展することもありますので、炎症の段階で治療を確実に行い、早期に肩の痛みを取り除くことが大きな損傷を防ぐことに繋がります。
そのため、肩の違和感を感じてきた時や、痛みが軽い初期段階での対応が早期回復へのかぎとなります。
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