中高年の膝の痛みで最も多いのが、「変形性膝関節症」です。50歳以上の2人に一人が罹患していると言われます。年齢と共に患者数は増加します。東京大学医学部の研究によると
患者数は700万人~1000万人。予備軍(エックス線検査で関節に微小の狭小が見られる状態)を含めると4000万人と言われています。
「変形性膝関節症」はどんな状態なのでしょうか。
加齢や長年にわたる負荷によって軟骨がすり減り、やがてなくなってしまう病気です。炎症が起こることで膝関節周りの神経が刺激されて痛みが生じます。原因はわかっていないのですが、老化、肥満、筋力低下などがリスクファクターとなります。男女比は1:4で女性に多く、60歳代の女性の4割、79歳代の女性の7割が罹患していると言われます。60歳以上で階段を降りる時や動き始めに膝が痛む、正座ができない、膝がまっすぐ伸びない、などの症状がある場合は、変形性膝関節症の可能性があります。
どんな症状が見られるのでしょうか。
・膝を動かしたときに痛みが出る。(動作時痛)
特に立ち上がる時や歩く時、階段の昇り降りなど。
・膝の曲げ伸ばしがつらい。(可動域制限)
膝を伸ばして立ったり、正座したり、しゃがむ動作がしづらくなります。
・膝に水が溜まる。(関節水腫)
関節炎で産出された関節液が関節内に溜まった状態です。関節に悪影響があるため体外へ排出する必要があります。
症状のあらわれ方、進み方
症状のあらわれ方は、人によって様々です。
エックス線検査で膝関節の変形が相当進んでいても症状が殆どない人。反対に痛みが酷いのにエックス線検査では変形が見られない人もいます。
病期の進み方も人によって異なります。
・初期の症状
朝起きて歩き始める時に違和感を感じます。しかし、階段の昇り降り、歩行時など体重がかかる動作で痛みが出ても、休むと痛みがなくなる場合が殆どです。
・中期の症状
痛みをはっきりと自覚するようになり、放置すると徐々に悪化していきます。
膝の曲げ伸ばしがしづらくなり、正座やしゃがむ動作が苦痛になり、階段の昇り降りも
辛くなります。また、関節炎が起きて来ると膝の周りが腫れたりむくんだりします。
膝も変形し、動かすとコリコリ、ガリガリというような音が出るような感じがあります。
・末期の症状
日常生活に支障が出てきます。そのため活動範囲も狭くなり、骨の変形も相当進んで来て外見的にも変形が目立つようになります。
「変形性膝関節症」は何が原因なのでしょうか。
「変形性膝関節症」のリスクファクター
・加齢(年齢が高いほど罹患率が高くなります。)
・O脚や偏平足など足部の変形
・肥満(膝にかかる体重の増加で、軟骨や靭帯に負担がかかります。)
・筋力低下(大腿四頭筋などの膝回りの筋肉が低下すると関節に負担がかかります。)
・膝への負荷の大きいスポーツの習慣
・足に合わない靴、ハイヒールなど
近年の研究でわかったリスクファクター
・体質、骨密度、肥満、ホルモンなどが影響するとされています。
・メタボリックシンドロームとの関連性が明らかにされています。
「変形性膝関節症」になったらどんな治療法があるのでしょうか。
初期の段階で放置せず、医療機関などで診断を受ける事がまず大切です。
運動療法
一般的な治療の中心は、運動療法です。筋肉の強化と膝の柔軟性を維持することが中心です。
また、体重コントロールにより膝への負担を減らすようにします。
装具補助具による治療
足底板という靴の中敷きで足外側を高くすることで膝関節内側にかかる負担を軽くする方法や、サポーターで膝関節の負荷を補助する方法があります。
薬物治療
ヒアルロン酸注射
ヒアルロン酸は、正常な関節液に含まれる成分で、関節に直接注入します。
関節軟骨を保護する作用があります。
手術療法
小さなカメラを入れて関節の中を洗ってきれいにする「関節鏡視下手術」や、金属でできた人工関節に取り換える「人工関節置換術」などがあります。
整体・接骨院での施術
体のバランスが崩れていたり、骨格の歪みの癖がついている場合は、痛みがなかなか治らなかったり再発を繰り返すことになります。そのような場合は、骨盤矯正や背骨の歪みの調整などが有効です。合わせて必要な筋トレをやることで膝の痛みもだいぶ楽になる可能性が高くなります。
また、変形性膝関節症の痛みの状態を緩和するためには、温熱療法や電気療法、マッサージなどの理学療法も有効です。
今回はこのへんで。
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